人気ブログランキング | 話題のタグを見る

人間の営み

午後から休みをとり、『ライブステップ2011』へ。
非常口5人、朗読で参加させていただいた。子どもたちは前に座っていて、顔を上げると真剣に聴いてくれている姿が目に入り、嬉しくなった。感謝。
出番は2回あり、後半には西さんがひとりで朗読することになっていたが、宮崎へ芝居を観に行く関係でそちらは観ることができず。
最初の朗読が終わり次第、会場を後にした。

【「演劇・時空の旅シリーズ」#3 1900年/ロシア 『三人姉妹』(作:アントン・チェーホフ 訳:神西清 構成・演出:永山智行)】

来月、北九州公演もあるので感想はここから後に。



美しい絵画のような舞台だった。濃密な時間が続く。日々仕事をし、疲れ果てて帰宅する姉妹たち。
終わらない冬を連想させて、息が苦しくなるようだった。みんなそうだと思うけれど、端々に自分自身の生活を重ねることもできて。
人生が晴れやかな希望に満ちたものであるように感じるとき青空を見るけれど、その高揚感はいつまでも続かない。語らい、笑いあう時間はどこか痛々しく、滑稽にも感じられる。わたしたち人間の営みを客観的にみたとき、痛々しいという感情が湧くかもしれない。そりゃあ人生の渦中にいるときはいちいちそんなことを思わない。生き続ける義務の重さの前で、かわいらしくもがいている。必死に。
今わたしたちは渦中にいる。だから必死。

時は流れ、とりまく状況も変わり、いつの間にか考えも変わっていく。日々の雑事に追われる中で理想や希望に対する前向きな渇望を持続させることは困難だ。
三人姉妹の人生は思うようにはいかず、けれど、容赦なく生活は続き、念願のモスクワへ帰る日もやってこない。
だが思う。たとえモスクワに行ってもこの日々は終わらない。モスクワへ行けばすべてが解決するわけではないのだ。モスクワ=救いの都、だと描いていたとしても、人生は続く。続く限り苦しみから解放されることはない。
そして、苦しみながらもわたしたちは生きていく。
生きていかなければならない。

終盤に向かって増していく勢い、ラストスパートの力が押さえていた感情を揺さぶる。立ち向かう姿勢が整っていく感じ。役者と観客が同化していくような感じがした。
一緒に観に行った友人たちと感想を語りながら帰宅した。
「三人姉妹」は111年前の作品だそうだ。
友人が、登場人物たちの苦悩は111年後の今を生きているわたしたちと何も変わらないよねと言った。その通りだと思う。
それは、きっと111年後に生きる未来の人間にも通じるものだ。
時は流れても、人間の感情や営みは変わらない。
by sk_anne | 2011-02-19 23:59 | 演劇

演劇集団非常口・しまだの寝癖に覆われた根暗な頭の中です。どうも。


by sk_anne