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乗組員について/その②

「乗組員」は稽古の過程でせりふを変えていった部分がちらほらある。
岩戸鉱泉の一軒家の使い方の変更(玄関がふたつあって、どっちを使うか、とか。)でそれにあわせてせりふをいじったりしたが、ここで言いたいのはそういうことではない。
たとえばラストもほんの少しだけだが、台本とは違う。
上演では、台本に書いてある一番最後のせりふをカットしてト書きの動きも変えた。稽古しながら、そうなった。

「四畳半の翅音」までは、書いたものはできるだけいじらない感じで、なんというか、戯曲に忠実に、ある意味頑固に上演していた。役者さんのアドリブもほとんど入れなかった。
でも、今回の乗組員は、自分でも柔軟な演出になったと思う。戯曲に忠実である部分と、そうじゃない遊びの部分がうまく混ざった上演になった。
どっちがいいとか悪いとか、そういうことではないです。単純に、今までにない新しい感じがした。
自分の中で。

作品の内容的にはそんなに愉快なやつではないけれど、芝居を創る過程ではこれまでと比べて遊びの要素が多かったように思う。稽古しながら役者さんたちとたくさん話した。
アドリブで面白かったものは上演で採用した。
稽古しながら良い方向へ変わっていくのが、楽しかった。作者として譲る部分と譲れない部分がうまく融合できた公演だったと思う。
自分のあたまの中で完結する戯曲の世界に、外から命を吹き込むのはやはり現場であり役者だと思った。やっぱり戯曲そのものは一番最初の設計図でしかないのかもしれない。設計図をもとにして、全員でよりよいものへと立体化させることが上演する場合とても大切になるんだな、と実感した。どれをとるか、判断するのが演出なんだな、と。

劇団らしかった、劇団の良さが出ていた、という感想をくださった方が数名いらっしゃるのだけれど、そういう空気を感じていただけたのかもしれません。
とても嬉しいお言葉でした。
少しだけ、自分の演出の方向、みたいなのが見えかけたような気もする。結構、役者任せだったり(笑)

「乗組員」は上演するあてもなく書いた戯曲ではなく、演じる役者と上演(第16回公演)を予定して書いた作品だ。非常口のために書いた作品だ。
だから柔軟でいられたということもあるかもしれない。

つづく。
by sk_anne | 2014-11-27 23:59 | 非常口

演劇集団非常口・しまだの寝癖に覆われた根暗な頭の中です。どうも。


by sk_anne