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夜、伊佐市文化会館にて2回目のベケット稽古。
まず最初に、わかりやすい戯曲ではないこともあり演出方針が手探り状態だということ、今のうちにある程度解釈を統一しておきたいと思っていること、をお話しする。
不安感漂うわたしの話を、俳優のみなさんは丁寧に受け止めてくださった。
そこで、今日の稽古では、本読みしながら演出・俳優ともに自分が「ん?」と思った箇所で自由に止めて、都度みんなで討論することに。


戯曲を読む度に、理屈では解明できないもの、を感じていた。
その世界は極限状態であり、言葉は詩であり、登場人物たちは時に理解を超えている。
同時に、ものすごく人間臭い。おそらく人間そのものだ。理屈では解明できない多面体。
だから、登場人物たちが愛おしくてならないのだと思う。
どうしてそうなったのか、なんとかならないのか、そう思ってしまう。気づくと自分を重ねてしまう。
大方理解ができてストンと納得して進む話ではないのにそんな気持ちになるのは、底に普遍性が存在しているからだ。
どうしていいかわからない、どうしようもない、どこにもいけない、いけるかもしれない、うんざりする、かわるかもしれない・・・・もう本当にさまざまな思いが混ざり合っている。
痛々しくて、かなしくなる。
そんなわたしの読み方は万華鏡的で、漠然と捉えすぎている自覚はあった。
これではだめだと思い、理解に苦しむせりふにしるしをつけた。
あまりの多さに、また戸惑った。


そして、今日の稽古。
ひっかかる箇所について意見を述べ合いつつ読み進めていたのだが、某俳優さんから発せられたひとつの解釈により、世界が一気に変わった。
それはまさに戯曲の根底を揺るがす重大な解釈だった。
大もと部分の膜が剥がれおちていく。本当にそんな感じ。剥がれてゆくのだ。
そうか!!それだっ!!!と全員で納得。
解釈はいろいろあると思うが、その解釈で読めば合点がゆくのだ。
細かい部分はまだまだ謎が多い。だが、根本が固まった感じだ。そして別の某俳優さんがさらに解釈を進めて、ますます納得。
それと同時に、自分のあたまがガチガチになっていることを実感する。
ガチガチで、開けていないのだ。だから肝心なことが見えてこない。読んでいるつもりが読めていなかった証拠だ。つもりになっていてもどうしようもないのだ。
ああ、情けない・・・・・・・・・。


だが、自己嫌悪はここまでだ。
大きな鍵が見つかった。
by sk_anne | 2009-04-10 23:51 | ベケットさん

演劇集団非常口・しまだの寝癖に覆われた根暗な頭の中です。どうも。


by sk_anne